動物の心臓病

『 動物の心臓病 』
心臓とは、生体の中でポンプの役目を果たしており、肺で酸素化された血液を全身に送り、また、一方、全身で酸素を使われた血液を肺へと送る役割を行っています。車で言うところの エンジンの役割をしています。このポンプの役割をしている心臓の異常が心疾患(心臓病)と言われるものです。一概に心臓病といいますが原因により大きく2つに分類する事ができます。

不整脈に関連した心臓病

心臓の刺激伝導系にトラブルを起こす心疾患です。

  • 洞不全症候群(SSS)
  • 房室ブロック(AVB)

などがあり、失神や突然死を起こす場合もあります。診断にはホルター心電図での検査が用いられます。

形態的異常による心臓病

心臓の形態に異常がありトラブルを起こしている心疾患です。 先天性(生まれつき)のものと後天性(生後に異常をきたす)ものとに分けられます。

『うちの子って心臓病?』
小型犬の8歳齢以上の子では半数以上の子が心臓病に罹患すると言われています。また、猫においては心筋症関連の心疾患が多く、心雑音を呈していない症例も多いため、聴診では心臓の異常を検出してあげる事ができません。『動物は症状を口に出す事ができません。』そのため、治療に結びつけるには検査機器を使用した検診が非常に重要になります。

心臓病 : こんな症状に注意

犬の場合
  • よく咳をおこし、息切れを起こす。
  • あまり動きたがらない。
  • 少し運動するだけですぐに疲れる。
  • 兄弟と比べて成長が遅い。
  • 興奮時、運動時に失神する。
  • 飲水量が多い。
  • ご飯を食べていないのにお腹が急に膨らんできた。
  • フィラリア予防をしていない。
猫の場合
  • 口を開けて苦しそうな呼吸をする。
  • あまり動きたがらない。
  • 失神する事がある。
  • お腹が急に膨らんできた。
  • 機嫌が良くない。

当院での心臓検査

心臓検査は予約検査とさせていただきます。検査当日の午前中に来院してください。基本は半日検査お預かりとなります。 検査内容としては

  • 胸部X-ray検査
  • 心電図検査
  • 心臓超音波検査
  • 血液検査
  • 血圧測定
  • 場合によっては尿検査などを追加で行う事もあります。

心臓病と診断を受けたら

心がけていただきたい事として以下の内容があります。

  • 運動を控えさせる。
  • 温度や湿度管理に気を配る。
  • 食事管理(うっ血性心不全に陥っている場合はナトリウムの制限など)
  • 肥満にさせない。
  • 投薬がある場合、必ず投薬を行う事。
『心不全とは?』
心臓病はひどくなればどの病態も『死』に直結する怖い疾患 です。早期発見が望ましいですが、残念ながら小動物医療の場合、心臓病は心不全に至って重篤になって治療が行われるケースが多く、その理由として動物は『言葉が話せない』ため 自分の体で起こっている『異変』を 飼い主さんに伝える事ができないといったところにあると思います。 『心不全』とは心臓のポンプ機能が異常を起こし、全身性にトラブルがでてしまう状況をいいます。 すなわち、心臓のトラブルによる『症状の発現』=『心不全』ということになります。 こうなってしまうと一刻を争いますし、動物はとても苦しみます。的確な診断・治療を行うことにより、苦しみから動物を開放してあげる事が当院の願いです。