たかお動物病院 院長ブログ / BLOG

不整脈

2015/04/11(Sat)

いつもご訪問頂きありがとうございます。
さて、今日は不整脈について少し話をさせていただきます。
不整脈は心臓がきちんとした拍動を行えていない状況のことをいいます。
原因となる事柄は心臓の病気はもちろんのこと、代謝に関わる病気、ホルモンの異常から出てくる病気などが原因していることもあります。
症状は人では動悸やめまい、フラつきや失神といった症状が出てくるものもあります。一般的に動物ではフラつきや失神という症状で飼い主さんがおかしいことに気付き来院されるケースが主です。おそらく、動物は動悸やめまいといった症状を言葉で伝えることができないためだと考えられます。
生理的に出てくる不整脈に関してはそれほど心配ないことの方が多いですが、頻発する不整脈は注意が必要です。ふらつきを伴い徐脈(犬で心拍数が60回/分をきるもの)があるものや、頻脈(安静時に犬で180〜200回/分を超えるもの)などは特に注意が必要です。不整脈の中には致死性の高い不整脈などもあります。

下記はフラつきが主訴で来院のあったワンちゃんに認められた『第3度房室ブロック』という不整脈です。


エコー上で異常な心房から心室への血液流入が認められました。


第3度房室ブロックは犬では心拍数の減少により一般的にフラつきや失神を起こす不整脈です。治療はペースメーカーの埋め込みが必要となります。


肺動脈狭窄症

2013/12/09(Mon)

随分とご無沙汰しています。
久々のブログ更新です。
本日は『肺動脈狭窄症』のについてお話します。

肺動脈狭窄というのは生まれつきの心臓および血管奇形により肺動脈の入り口が細くなり、右心系(肺動脈、右心室、右心房、大静脈)の機能を障害する病気です。
肺動脈狭窄と一概に言っても狭窄される(細くなる)部分によって大きく分けると
1.弁下部狭窄
2.弁上部狭窄
3.弁性部狭窄
などの種類があり、他の心奇形と合併することも多くあります(ファロー、VSD、PDAなど、単一冠動脈奇形)。
狭窄の程度により軽度〜重度の病態があります。
症状は失神発作、呼吸促迫、労作性疲労(動いた後にすぐ疲れる)などといった症状が一般的であり、重度のものは『突然死』のリスクが著しく高くなります。
治療は重度の場合は外科的な介入が必要です。(バルーン弁口部拡大術、流出路拡大術など)

下記は肺動脈弁上部狭窄と診断した検査所見です。
症例は7ヶ月のワンちゃん(フレンチブルドック)でした。
狭窄の程度は重度でありました。(狭窄部の最大決流速が682.7cm/sであり圧較差186.4mmHg)
飼い主さんの稟告ではやはり、興奮時に労作性疲労が起こっているようです。
症例は短頭種(鼻の短い犬種)であったため、狭窄の原因が『単一冠動脈奇形』も考えられたため冠動脈造影検査も行いました。

上記の症例はワクチン接種時の健康診断で心雑音が指摘されて比較的早期に今回の診断につなげることができました。ちょっとした『健康診断』でも侮れないなと感じる今日このごろです。治療に関しては慎重に決定していきます。

【エコー所見1:右室流出路に狭窄所見】


【エコー所見2:右室流出路の血流速測定】


【右室流出路造影検査所見:三尖弁逆流もあり後大静脈の一部が造影されています。】


【冠動脈造影検査:単一冠動脈奇形は確認されませんでした。】


肺動脈弁狭窄症

2013/04/24(Wed)

いつもご訪問いただきありがとうございます。
本日はちょっと心臓疾患の話をしたいと思います。
今回の内容は『肺動脈弁狭窄』です。
比較的小型犬に認められる先天性の心疾患で、肺動脈弁の低形成や異常のため狭窄が起こり、右心系に圧負荷を起こす病気です。
今回当院にて診断した症例も2ヶ月齢の小型犬でした。ワクチン接種時に心雑音を指摘されていました。
胸部X-rayです。VD像にて主肺動脈の突出および右心系の拡大による心尖部の左方への変位が認められます。ラテラル像でも心拡大が認められます。
↓↓↓
【VD像】


【ラテラル像】


心臓超音波所見では拡大した右心室と肺動脈弁の狭窄(狭窄部位2.5mm)および肺動脈の狭窄部後部拡張が認められました。
【右心室の拡張、心室中隔の平坦化(右心室圧の上昇が明瞭)】

【狭窄部位、狭窄部後部拡張】

【狭窄部位血流速】


この症例は狭窄部位の血流速から収縮期の圧較差を求めると200mmhgを超えていて重度の肺動脈弁狭窄だと判断できます。この症例は今後外科的な治療も考えています。

先天性の心疾患は発見が早ければ完治できる疾患もあります。
ワクチン接種時などに心疾患を指摘された場合は放置せず、検査を受けられるようお勧めいたします。


マダニに注意!!

2013/04/23(Tue)

いつもご訪問ありがとうございます。
春になって気温も上がって来ているせいか、マダニを付けているワンちゃんを見かけるケースが増えてきました。マダニは人や動物にとって厄介な病気を媒介します。例えば人のほうでも最近話題になっている『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』もマダニが媒介します。犬では『バベシア』という病気が九州では発生が多いです。
これから気温帯もまだまだ上がりマダニが猛威を振るう季節になってきます。是非とも予防を心がけて頂きたいものです。予防薬に関しては塗布するタイプのものや飲ませるタイプのものがあります。お近くの動物病院にお訪ねしていただきご自分のワンちゃん猫ちゃんにあった予防をしていただけたらと思います。下の写真は実際ワンちゃんに付着していたマダニです。吸血しており体が大きくなっております。


ここ最近の色んな病気

2013/03/19(Tue)

いつもご訪問いただきありがとうございます。
最近の当院における症例の報告をさせていただきます。

まずは『便が出にくい』事を主訴に来院された症例です。
当院にて検査をさせていただき、『会陰ヘルニア』と診断した症例です。
『会陰ヘルニア』は未去勢の♂に最も発生しやすい病気で、肛門周囲の尾骨筋、肛門挙筋という筋肉が萎縮する事によって直腸が変位したり、ヘルニア孔に膀胱が反転して突出したりする病気です。予防には早期の去勢手術が有効とされています。(当院では生後6ヶ月齢での去勢手術を推奨しています。)
この『会陰ヘルニア』は便の排出がうまくいかないようになったり、膀胱が反転してしまうと排尿ができなくなり、場合によっては命も脅かします。
今回の症例は膀胱は逸脱してませんでしたが、直腸の変位があり、直腸内に大量の宿便がありました。飼い主様に手術を提案し、同意が得れましたので手術を行いました。
今回の症例のワンちゃんも去勢手術はされていませんでした。
整復は精巣を包んでいる総漿膜を用いてヘルニア孔を閉鎖いたしました。

先日来院がありましたが、便は順調に排出できているみたいです。

次は異物の誤食で来院されたワンちゃんです。
お孫さんが遊んでいたボールを誤って飲み込んでしまったとのことでした。
催吐処置を行うもボールは排出されず、内視鏡での確認と摘出を試みましたが、流石に球体状のものは鉗子が挟める部分も少なく、挟んでも把持力が弱いため胃の噴門(入り口)を通過する事ができず、内視鏡での摘出は不可能と判断し手術に切り替え無事摘出できました。

誤食は動物の疾患の中でも非常に多いです。消化管などで閉塞を起こすと危険ですし、命にもかかわります。今回の症例は閉塞を起こす前に摘出でき良かったです。
異物をもし誤食した場合は症状が出てないからと安心せず必ず病院に来院する事が必要です!!

最後がフィラリア症のワンちゃんの心臓検診です。

心臓エコー検査にて肺動脈の拡張が認められました。
肺動脈弁逆流も認められ、肺動脈弁逆流速がおおよそ4.0m/sec近くあり、この流速から計算すると拡張期に肺動脈と右心室との圧格差が64mmhgちかくあるという結果に・・・
いわゆる肺高血圧(PH)と言った状態です。フィラリア症は犬に肺高血圧症(PH)を起こす代表的な疾患です。
フィラリアはこれからが予防シーズンになりますが、予防でしか完全に防除する手段はありません。フィラリア虫体の寿命が尽きるとフィラリア症は増悪すると言われています。(死んだ虫体が肺動脈梗塞を起こし、肺高血圧が憎悪する。)
フィラリア症になっているワンちゃんは一度しっかりと病態把握のために検診をされる事をお勧めいたします。


起こすと恐ろしい病気1(胃拡張・捻転症候群)

2012/01/24(Tue)

いつもご訪問いただきありがとうございます。
今日は、起こすと恐ろしい病気である胃拡張・捻転症候群についてお話ししようかと思います。
この病気は特に大型犬で胸郭が深い犬種に起こりやすい病気です。
症状としてよく耳にするのが『ご飯を食べて、散歩に行って帰ってきたらぐったりした。吐こうとするが何も出ない。よだれを垂らす。』です。
胃が捻れて胃の入り口(噴門といいます。)と胃の出口(幽門といいます。)が閉塞し、胃の内容物が行き場を失います。なので、吐こうとしても胃のなかのものは出てきません。
しかし、最も重大なのは胃が捻れたために起こる虚血です。
<写真> 血のダメな方はクリックしないでください。

この虚血が続くと血管内で血栓などができます。また虚血した血管内の血液はいろんな生体に悪影響を与える物質が増えているために、捻転を解除した後に重大な影響を生体に与える恐れがあります。いわゆる『クラッシュシンドローム』と呼ばれるものです。
この病気の致死率は凄く高いです。時間が経てば経つ程不利な状況になってきます。
予防としては食後の過度な運動をさけることが重要です。もし、ご自分のワンちゃんがこのような事態になったら、すぐにかかりつけの病院に来院されることをお勧めいたします。


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