心筋症猫の去勢手術
2015/02/02(Mon)
下の写真は去勢手術を先週無事終えたエキゾチックショートヘアの【うに】ちゃんです。
去勢手術の傷口のチェックに来院していただきました。
実は【うに】ちゃん、過去にも一度去勢手術を受ける予定でいましたが、術前検査にて【心筋症】が判明し、当時は手術を見送ることとしました。
それから1年。。。
飼い主さんがおっしゃるには昨年の春や秋に結構ソワソワして落ち着きがないことがしばしばあったとのこと。これからまた春を迎えると落ち着きがなくなるのでは???という心配と特に交配などをする目的もないのに【性】に縛られることによるストレスが心配とのことでしたので、去勢手術を行うこととなりました。
幸い、この子の場合は【心筋症】による重度のうっ血などの症状はなかったので(先日、心筋症の定期検診をした結果)、麻酔薬の選定から術後管理までをしっかり行うことにより無事に去勢手術を行えました。
しっかり、状況を把握して手術を行うことが大切です。
避妊手術や去勢手術は全身麻酔を行います。患者サイドの【安全】を一番に配慮するのが獣医療でも必要なことです。
また、避妊手術や去勢手術はそれを行ってその後の生活をより良くする手術です。一か八かでやる手術ではありません。
今回の症例は最初の去勢手術時に検査を行わなかったらどうなっていたのかと考えるとゾッとします。術前検査は重要です!!
※記事や写真の掲載に関しては飼い主様の許可を得ております。
猫の消失精巣
2014/12/18(Thu)
いつもご訪問いただきありがとうございます。
本日は少し珍しい症例のご紹介をしたいと思います。
先日から腹腔内停留精巣の話をブログでしましたが、今回は猫の【消失精巣】についてです。【消失精巣】とは発生過程における何らかの異常によって、精巣実質が消失したものです。
実際、自分もこのような疾患に遭遇するのははじめてでした。
今回手術を受けていただいた猫ちゃんは左側の精巣が陰嚢内になく、停留精巣ということで手術になっていた症例です。通常、停留精巣の場合、腹腔内もしくは陰嚢外の皮下に存在します。皮下にある場合は触診で存在を確認できますし、腹腔内の場合は多くはエコーにて精巣の存在を確認することができます。
しかし、今回の猫ちゃんの場合はそのどちらを行っても確認することができず、自分も【おかしいなぁ】と思いながら手術を行った症例です。
手術で開腹し、確認しても精巣らしきものはなく、皮下にも当然ありませんでした。
そこで、左の精管をお腹の中から辿っていくと。。。
なっ、なんと下記のような萎縮した精巣様の組織が鼠径から皮下に埋もれていました。。。
【精管を辿って出てきた萎縮した精巣様の組織】
実際、この組織の病理検査を行い、精巣由来の一部組織像が認められ、実際の精巣は欠如していることから結果は【消失精巣】とのことでした。。。
本来、あるべきものがないという状況はかなり焦りましたが、冷静に手術時に対処でき、無事摘出できたので良かったです。
診断していただいた病理医もかなり珍しい症例ですとのコメントでした。。。
猫の停留精巣・・・恐るべしですね?
PDA(動脈管開存症)外科手術篇&お知らせ
2014/04/21(Mon)
いつもご訪問いただきありがとうございます。
さて、今回は以前にもブログでアップしてましたPDA(動脈管開存症)の症例を手術いたしました。
小型犬の生後3ヶ月齢の症例でしたので手術時の体重は800gとかなり小さかったので、かなり緊張いたしました。
手術は動脈管を直接結紮する方法で行いました。周囲組織の分離が大変なのですが、慎重に行い、無事に短絡血管(動脈管)を確保し、結紮に成功しました。
【クリックすると画像が大きくなります。血がダメな方はクリックしないでください。】
今回、この結果をもたらしてくれた立役者となったのが、向かって右に写っている先生で、大学時代の親友の佐藤先生(白金高輪動物病院 院長)です。
この日は、循環器症例ではもう一つ【冠動静脈樓】を疑っている症例の冠動脈造影検査がありましたが、これも彼の協力でスムーズに検査が終了しました。
この後、夜にも椎間板ヘルニア症例のオペがあったりとこの日は外科三昧の日でしたが、どれも結果的に無事に終わり安堵感の中、一日が終了しました。
佐藤先生、ご苦労様でした!!
本日、4月21日より23日まで、うきは市の狂犬病集合注射に参加してきます。ですので、午前中は院長が不在となります。診療はもう一人の当院獣医師で行ってます。ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いします。
脱毛を呈していた症例
2014/02/03(Mon)
昨年度11月初めに当院に脱毛を主訴に来院してこられた症例がありました。
昨年の6月くらいから皮膚が悪化していたとのことでした。
来院当初は下記の写真のような状態・・・
【3ヶ月前の外貌】
経過が長いので、いろいろと検査をさせていただくと【甲状腺機能低下症】と【左右卵巣の腫瘤】が認められました。
治療を行い、先日来院があったのですが、3ヶ月前とかなりの変貌ぶりにこちらも驚きました。
【治療開始から3ヶ月経過した現在の外貌】
大分の日田市の大山から1時間近くかけてのご来院ですので、こまめに当院へ来院が出来ない状況でしたが、なんとか結果が出てくれて一安心です。