たかお動物病院 院長ブログ / BLOG

心筋症猫の去勢手術

2015/02/02(Mon)

下の写真は去勢手術を先週無事終えたエキゾチックショートヘアの【うに】ちゃんです。

去勢手術の傷口のチェックに来院していただきました。



実は【うに】ちゃん、過去にも一度去勢手術を受ける予定でいましたが、術前検査にて【心筋症】が判明し、当時は手術を見送ることとしました。

それから1年。。。

飼い主さんがおっしゃるには昨年の春や秋に結構ソワソワして落ち着きがないことがしばしばあったとのこと。これからまた春を迎えると落ち着きがなくなるのでは???という心配と特に交配などをする目的もないのに【性】に縛られることによるストレスが心配とのことでしたので、去勢手術を行うこととなりました。

幸い、この子の場合は【心筋症】による重度のうっ血などの症状はなかったので(先日、心筋症の定期検診をした結果)、麻酔薬の選定から術後管理までをしっかり行うことにより無事に去勢手術を行えました。

しっかり、状況を把握して手術を行うことが大切です。

避妊手術や去勢手術は全身麻酔を行います。患者サイドの【安全】を一番に配慮するのが獣医療でも必要なことです。

また、避妊手術や去勢手術はそれを行ってその後の生活をより良くする手術です。一か八かでやる手術ではありません。

今回の症例は最初の去勢手術時に検査を行わなかったらどうなっていたのかと考えるとゾッとします。術前検査は重要です!!

※記事や写真の掲載に関しては飼い主様の許可を得ております。


紹介症例

2015/01/28(Wed)

昨日は近所の先生よりご紹介いただいた心疾患の症例の検査を行わせていただきました。

紹介元の病院で心雑音と心臓エコー検査で異常血流が認められたため当院に紹介があった症例です。

当院では治療方針を決定する精密検査が目的のため来院でした。

診断は【閉塞性肥大型心筋症】

所見として特徴的な心筋の肥厚と僧帽弁の収縮期前方運動【SAM】が認められ、SAMの影響にて【僧帽弁逆流】と【流出路狭窄】が起こっていました。

心電図では上室性頻拍が認められ、高血圧所見も認められました。

治療は上記の事柄を配慮し行うこととしました。

猫の心筋症の予後因子に左心房の拡張があります。

今回の症例では左心房の顕著な拡張は認められませんでしたが、やはり、飼い主さんは先々のことを不安に思われていました。

まだ3歳にもなっていない猫ちゃん。人間の年齢に例えれば20代中頃でしょうか?

少しでも飼い主さんと長く一緒に入れるように、また、日常生活で苦しむことのないように維持できてくれればと思います。

僧帽弁の収縮期前方運動【SAM】


左心房の顕著な拡張は認めない。


拡張期の心筋壁の肥大所見


左室流出路の動的狭窄所見


僧帽弁逆流所見


※掲載に関して飼い主様の同意を得ております。


猫の消失精巣

2014/12/18(Thu)

いつもご訪問いただきありがとうございます。

本日は少し珍しい症例のご紹介をしたいと思います。

先日から腹腔内停留精巣の話をブログでしましたが、今回は猫の【消失精巣】についてです。【消失精巣】とは発生過程における何らかの異常によって、精巣実質が消失したものです。

実際、自分もこのような疾患に遭遇するのははじめてでした。

今回手術を受けていただいた猫ちゃんは左側の精巣が陰嚢内になく、停留精巣ということで手術になっていた症例です。通常、停留精巣の場合、腹腔内もしくは陰嚢外の皮下に存在します。皮下にある場合は触診で存在を確認できますし、腹腔内の場合は多くはエコーにて精巣の存在を確認することができます。

しかし、今回の猫ちゃんの場合はそのどちらを行っても確認することができず、自分も【おかしいなぁ】と思いながら手術を行った症例です。

手術で開腹し、確認しても精巣らしきものはなく、皮下にも当然ありませんでした。
そこで、左の精管をお腹の中から辿っていくと。。。
なっ、なんと下記のような萎縮した精巣様の組織が鼠径から皮下に埋もれていました。。。
【精管を辿って出てきた萎縮した精巣様の組織】

実際、この組織の病理検査を行い、精巣由来の一部組織像が認められ、実際の精巣は欠如していることから結果は【消失精巣】とのことでした。。。

本来、あるべきものがないという状況はかなり焦りましたが、冷静に手術時に対処でき、無事摘出できたので良かったです。
診断していただいた病理医もかなり珍しい症例ですとのコメントでした。。。
猫の停留精巣・・・恐るべしですね?


PDA(動脈管開存症)外科手術篇&お知らせ

2014/04/21(Mon)

いつもご訪問いただきありがとうございます。

さて、今回は以前にもブログでアップしてましたPDA(動脈管開存症)の症例を手術いたしました。

小型犬の生後3ヶ月齢の症例でしたので手術時の体重は800gとかなり小さかったので、かなり緊張いたしました。
手術は動脈管を直接結紮する方法で行いました。周囲組織の分離が大変なのですが、慎重に行い、無事に短絡血管(動脈管)を確保し、結紮に成功しました。
【クリックすると画像が大きくなります。血がダメな方はクリックしないでください。】


今回、この結果をもたらしてくれた立役者となったのが、向かって右に写っている先生で、大学時代の親友の佐藤先生(白金高輪動物病院 院長)です。


この日は、循環器症例ではもう一つ【冠動静脈樓】を疑っている症例の冠動脈造影検査がありましたが、これも彼の協力でスムーズに検査が終了しました。

この後、夜にも椎間板ヘルニア症例のオペがあったりとこの日は外科三昧の日でしたが、どれも結果的に無事に終わり安堵感の中、一日が終了しました。

佐藤先生、ご苦労様でした!!

本日、4月21日より23日まで、うきは市の狂犬病集合注射に参加してきます。ですので、午前中は院長が不在となります。診療はもう一人の当院獣医師で行ってます。ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いします。


脱毛を呈していた症例

2014/02/03(Mon)

昨年度11月初めに当院に脱毛を主訴に来院してこられた症例がありました。
昨年の6月くらいから皮膚が悪化していたとのことでした。
来院当初は下記の写真のような状態・・・
【3ヶ月前の外貌】

経過が長いので、いろいろと検査をさせていただくと【甲状腺機能低下症】と【左右卵巣の腫瘤】が認められました。
治療を行い、先日来院があったのですが、3ヶ月前とかなりの変貌ぶりにこちらも驚きました。
【治療開始から3ヶ月経過した現在の外貌】

大分の日田市の大山から1時間近くかけてのご来院ですので、こまめに当院へ来院が出来ない状況でしたが、なんとか結果が出てくれて一安心です。


心臓病を抱えている動物の手術

2014/01/21(Tue)

いつもご訪問いただきありがとうございます。
今回のブログタイトルは【心疾患を抱えている動物の手術】です。
当院でもよく飼い主様に『この子は心臓が悪いと言われているんだけど手術って大丈夫ですか?』と聞かれる事が多々あります。
確かに心疾患がある動物の手術はそれがない動物と比べリスクはあります。
ただ、手術を行わないと解決の糸口を見いだせない病気もあります。それらはしばしば放置しておくとQOLを著しく低下させたり、死に至ったりする病気だったりします。
自分個人の意見としては心臓の病態を把握し、それに応じた手術計画を立てる事で、手術におけるリスクは下げる事は可能だと思っています。
また、健康な動物の避妊手術や去勢手術、歯石の除去の際の麻酔に関しても同様で手術前の検査にて手術計画を立てる事は重要です。
先日、当院の所在している『うきは市』の隣の『久留米市』より『便が出ない』ことを主訴に患者様の来院がありました。
診察時の胸部の聴診にて心雑音がありました。心検査を行い【僧帽弁閉鎖不全とそれに伴う肺高血圧症】と診断したのですが、排便障害を起こしている原因が【会陰ヘルニア】でした。
【会陰ヘルニア】は手術を行わないと排便障害を克服できません。最近は食欲も落ちているという状況でした。年齢は14歳と高齢ではあるけども、質の高い生活はおくってもらいたいという飼い主様の強い思いがあったため、手術を飼い主様同意の上行いました。
手術前の身体検査に基づく麻酔の選択、強心剤の投与、術後管理を行う事で無事手術を終える事が出来ました。先日、縫合部位の抜糸に来院していただいたのですが傷の具合もよく無事抜糸が出来ました。今後は心臓病の管理を続けて行く予定です。良い生活が行えるようこれからもバックアップしていきます。

【僧帽弁の逆流】


【三尖弁の逆流 流速より肺高血圧症と診断】


【左心房の拡大 LA:左心房 LAu:左心耳 AO:大動脈 RA:右心房 RVOT:右室流出路】


【抜糸時の傷の状況】


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