院長ブログ/ BLOG
日々思うこと。
下記の写真は先日、フィラリア予防時に血液健康チェックを受けていただいたワンちゃんのデータの一部です。
甲状腺から出ているT4というホルモンが正常値の下限をきっていることが分かります。
この子は10歳以上の高齢のワンちゃんで少し以前よりは活力が落ちたようだという事でしたので、このデータも踏まえると【甲状腺機能低下症】を最も疑いたくなる症例です。
【甲状腺機能低下症】は高齢のワンちゃんでの発生率が多い病気でもあります。
このように検査でしか異常が確認できない病気は数多く存在します。中には放置しておくと命を脅かす病気なんていう病気も見つかったりします。
体の異常を見つけるために人よりも検査に頼らざるをえない場合が多くあります。理由は症状自体を動物が直接訴える事ができないためです。
それに加えて飼い主さんが訴える動物の症状には様々な【主観】が混入しています。【主観】というのは時に危うさがあります。【主観】はどうしても見方に偏りが生じます。
病気を見る上ではこの【偏り】はあまり好ましくありません。
客観性をもたせる【ものさし】として検査は重要だということです。
特に一刻を争う病気の場合は的確な診断が要求されます。
そして、その診断の上にはじめて救える命があります。
2007年の開業から8年間、診療を行った中でこういった経験を数多くしてきました。
助けれた症例、限界までやったけど残念ながら助からなかった症例。。。
生き物ですからどうしても100%というのはありません。でも、100%に近づけるために獣医師も日々努力をしています。
以前より良い獣医療ができるようにと病院設備も充実させたりもします。
病気の全体的な把握ができてからの治療。これが理想ですね。
だからといって、様子をみる治療を悪くいうつもりはありません。
状況にもよりますが飼い主さんにとってそれがベストであることもあります。
しかし、逆に様子をみすぎて手遅れになっている症例に遭遇することもしばしばありますし、死にそうになっている動物に対して様子をみるのはおかしいでしょう。
命は1つしかありません。病気は治療の適期というのがあります。それを逃したら。。。
動物は言葉で人に色々と伝えることができないため、飼い主さんは一般的に動物の病気の症状というのは些細なことと判断してしまいがちなことが多いようです。
言葉を話せない動物を治療することはやはり難しさを感じます。ここは多くの獣医師が日々頭を悩ませているところでもあります。
また、動物のおかれている状況と飼い主さんの考え方のギャップが大きければ大きいほど治療は困難を極めます。
この場合は病状をきちんと理解してもらうことが重要です。その中で決定した治療を行う。これが当院のスタンスです。しかし、それは相互の【信頼関係】の上に成り立つ事柄です。
信頼関係の構築ができた上での治療は動物にとって最良の治療となると自分は考えます。
獣医師に対しての【信頼】と飼い主さんに対しての【信頼】この2つがすごく重要です。
当院がここまでやってこれたのも信頼をおいてくださった患者様の支えのおかげだと思っています。
自分はこれまでどおり信念を曲げることなく獣医療を行い、更によい方向で患者様のお力になっていきたいと考えています。
ふと、なんとなく思ったことを書いてみました。
昨日で狂犬病集合注射1次注射が無事終了しました。
4月20日から4月22日の午前中はご迷惑をおかけしました。
大きな事故などもなく、無事、うきは地区の狂犬病の1次集合注射が終了しました。
年々、縮小傾向にある狂犬病の集合注射。
犬の飼育等数の減少や動物病院での接種率の上昇が背景にあるのでしょうね。
下の写真は玄関先に咲いているベルフラワー:別名 オトメギキョウ(乙女桔梗)という花です。
小さい花ですがとてもきれいな花です。
花言葉は誠実、感謝。
さて当院の周辺は本日も快晴です。
皆様のお役に立てるよう今日も全力で頑張ります。
獣医師冥利に尽きる出来事
さて、本日、とても嬉しい出来事がありました。
以前、当院で懸命に治療を続けていたワンちゃんの飼い主様が新しい家族を連れて当院に来院がありました。
先代のワンちゃんが最後を迎えてから2年。
また、当院にてお世話になりたいとのことでした。
この言葉、すごく光栄なことでありますし、獣医師冥利につきます。
どことなく先代のワンちゃんの面影があるとのことが購入理由だそうです。
先代のワンちゃんはご家族さんにとってとても大切な家族であったことが分かります。
また、動物とのお別れは大変つらいですが、時間が経過し、そのお別れを受け入れることができたのでしょう。明るい飼い主さんの顔がとても印象的でした。
こちらもまた全力でサポートをして行く次第です。
狂犬病集合注射2日目終了!!本日で1次注射が終了。
毎年恒例のうきは市の狂犬病集合注射、昨日で2日目の日程が終了しました。
今日は3日目で1次注射の最終日です。
昨日は天候に恵まれ、太陽が照りつけるなか業務を行いました。
その影響なのか体力を消耗していたようで、夜は気づかないうちに寝てしまっていました。
今日も朝から快晴。しっかりと業務を遂行していきます。
下の写真は昨日の夕焼けです。雲の感じが綺麗だったので^^
迷子の情報です。
いつもご訪問頂きありがとうございます。
吉井町14区で迷子になったワンちゃんの情報です。
近隣にお住まいの方で心当たりのある方は当院、もしくは保健所、うきは警察署にご連絡ください。よろしくお願いいたします。
心雑音
いつもご訪問頂きありがとうございます。
今回、当院に他院の先生より循環器疾患のご紹介がありました。
紹介内容は【心雑音】が聴取されるので詳しく検査をしてもらいたい。という内容でした。
最近、このような形で近隣の先生方より症例の紹介を良くいただくようになりました。すごく光栄です。
さて、心雑音ってどんな時に生じるのか皆さんご存じですか?
心雑音は心臓の弁の異常で血液が逆流をおこしている時や狭窄をおこしているところを血液が通る時、短絡疾患(動脈管開存症、心室中隔欠損症などといった心臓や血管の奇形に関する病気)や心臓病の影響で心室の拡張性が傷害された時などに主に聴取されます。
今回の症例の心雑音の原因は僧帽弁逸脱による弁の閉鎖不全症から起こっているものでした。腱索という弁を吊っている紐状の組織が断裂したことが原因として考えられます。
上記の画像から僧帽弁(左の房室弁)からの逆流があるために右と左を隔てている心房の中隔という壁が右心房側にこのように変位しています。これは、逆流のために左心房が拡大し、内部の圧力が上昇しているためです。これがひどくなると肺水腫という恐ろしい病態を招きます。弁の閉鎖位置の変位もあり、腱索断裂を疑う所見が認められました。
【組織ドップラ】
また、当院のエコーでは【組織ドップラ】という機能がついており、弁輪部の動きを波形としてみることができます。この症例の場合、僧帽弁の弁輪部の動きに異常が認められ、心臓の筋肉の弛緩異常が疑えます。
当院ではこのようにエコー検査などを用いて心臓の形態的な動きや、血流の評価を行い、治療を決定しています。
以前、【心雑音】を指摘されたことのあるワンちゃんや猫ちゃんを飼われている飼い主様はこのような形での心臓検査を受けていただくことをお勧めいたします。心臓病は進行性の病気です。悪化する前にきちんと検査を受けましょう。