院長ブログ/ BLOG
6月7日の僧帽弁形成術の症例
いつもご訪問いただき、ありがとうございます。
6月7日に僧帽弁形成術(MVP)を行った症例のご報告です。
コチラのワンちゃん(チワワ)ですが、近医の先生よりご紹介いただきました。
当院での初診時は下記の通り、心拡大が酷く、僧帽弁の前尖も腱索が断裂しており、重度の僧帽弁逆流が認められました。



手術の日までは、なんとか内科治療で凌いでもらい、6月7日にOPE。
OPE後は弁の逸脱もなくなり、僧帽弁逆流も消失しました。
心拡大も消失しています。



その後、現在のところ、2ヶ月ほど経過していますが、経過はおかげさまで良好です。
とはいえ、術後に合併症も出ましたが、それを乗り越えて勝ち取った成功でもあります。
今年は今のところ、3例の僧帽弁形成術を行い、全頭、無事に飼い主様の元へお返しできております。
僧帽弁形成術(MVP)という大きな手術、数%ですが、合併症で残念ながら亡くなる症例もいます。受けられた飼い主様方はご決断されるにはかなり、ご不安もあったかとは思います。当院を信頼していただき、ご家族を預けていただいたことに対しては身が引き締まる思いです。
8月は、PDA:動脈管開存症に対してAmplatz Canine Duct Occluder:ACDOによる塞栓をインターベンションにて行う予定のワンちゃんがいます。無事、飼い主様の元へお返しできるよう、スタッフ一丸となり、頑張りたいと思います。
3月、5月の心臓外科手術(僧帽弁形成術)
5月3日に当院にて僧帽弁の形成術を行った症例、術後1ヶ月を経過し、今のところ、経過は良好です(飼い主様より、写真の使用は許可を得ています)。
術前は、下記のような心臓エコー所見でした。
僧帽弁の逸脱が重度にあり、非常に多い血液量が逆流を起こしていました。
当然、内科管理するも運動不耐などの臨床症状は出ており、ACVIMのStage Cと診断した症例です。術後は弁からの血液の逆流はほぼ消失しました。
術後のエコー所見がこちら。
2週間ほど術後は入院管理し、術後合併症に関しての経過や治療などを行っていました。その後、無事退院。
先日、術後の1ヶ月検診でしたが、元気な姿を見せてくれました。
3月1日に行った症例も術後のお薬が先日、休薬でき、調子は良好。
【3月1日に僧帽弁形成術を行った症例の術前エコー所見】

本症例も、術前の僧帽弁からの逆流血液量が大変多かった症例でしたが、無事、術後は逆流は、ほぼ消失しました。
【術後の所見】

手術自体も大掛かりで大変ですが、術後管理も大変な手術です。乗り越えれば、明るい未来が待っている手術です。また、症例をかさねる度に適応に関してもシビアな判断が求められる手術だと感じています。
明日もまた1例、この手術を受ける症例がいます。飼い主さんと1日でも長く過ごせる時間を作るため、身を粉にして取り組みます。
2026年3月1日の心臓外科手術(僧帽弁形成術)の症例
いつもご訪問していただき、ありがとうございます。ブログの更新を怠っており、1年ぶりの更新です。
さて、2026年3月1日に、久々ですが、僧帽弁形成術(MVP)の手術を行いました。症例は粘液腫瘍性僧帽弁疾患により僧帽弁逆流を呈している雑種犬の症例。一度、肺水腫を起こし、かかりつけの病院で救命された稟告のある子でした。
開心術を行う際は、毎回、前日からこのように大がかりな準備が必要。今回もJACCTのご協力の下、当院で開心術を行いました。
手術の準備の様子↓
症例の術前所見は、僧帽弁の重度の逸脱があり、僧帽弁逆流量も多く、左心房の拡大および、左心室の拡大が酷かったのですが、
術前の所見↓


術後は、逆流も消失し、左心房、左心室がかなり小さくなってくれました。


2週間で無事退院。術後にちょっとした合併症もありましたが、無事乗り越え、元気に退院してくれました。僧帽弁の粘液腫瘍性変性が原因していますので、時間の経過と共に進行していく疾患でもあります。そういった疾患の性質上、内科治療を行って、症状などが軽減したとしても、壊れた弁は治ってはいません。内科治療を開始して、心負荷が軽減し、心拡大が一時的におさまる症例も偶にいますが、数ヶ月すると再度、心拡大し、状況悪化というような症例もいたりします。弁の壊れ方などが1例1例、様々であり、経過も様々なので、その子にあった手術の適応時期を考えるのは大変ですが、今後も適切なアドバイスが出来るように研鑽していきます。
今年3例目の僧帽弁閉鎖不全症における僧帽弁形成術
いつも、ご訪問いただきありがとうございます。先月に今年3例目の僧帽弁閉鎖不全症における僧帽弁形成術を行いました。本症例も術後は順調よく回復し、無事退院。術後3ヶ月は抗凝固剤の投与が必要になりますが、今のところ経過良好です。飼い主さんの許可を得ましたので、術前と術後のエコー検査の所見を提示します。
まずこれが術前の写真
僧帽弁の前尖の逸脱が激しく、血液の逆流が酷く認められます。咳が酷く、運動するとすぐ疲れてしまうような臨床症状も出ておりました。利尿剤を投与するも心拡大は酷くなる一方でしたので、手術となった症例です。
続いて、術後の写真
術後は弁の逸脱が抑えられており、血液の逆流もほぼなくなりました。咳嗽の症状もなくなり、活発に運動できているようです。
とりあえず、今年で3例、今度、9月に4例目を行う予定です。
以前は内科治療しか選べなかった獣医療における僧帽弁閉鎖不全症。今は合併症などのリスクは僅かながらありますが、高い可能性で完治できる治療方法が選べる時代になってきました。当院が開院当初から目標にしていた事が、JACCT動物心臓血管ケアチームの協力のおかげで達成できています。
肺動脈弁狭窄症におけるバルーン弁口部拡大術
久々のブログの更新です。
さて、今回は肺動脈弁弁性狭窄の症例の報告になります。
本症例は生後3ヶ月の幼犬でした。
肺動脈の弁性狭窄は先天性心疾患の一つで、狭窄具合が酷ければ酷いほど、右心室に圧力負荷が増え、右心不全や心室性不整脈などの原因になり、突然死を起こすリスクが高くなります。
本症例は狭窄部の血流が下で示すように7m/secを近くあり、圧較差が190mmHg近くありました。
重度の狭窄があるために、心室中隔も左心室側に変位が認められています。
そこで、飼い主様に状況を説明し、同意が得られましたので、バルーンカテーテルを用いたインターベンションを行いました。
下記の通り、バルーンカテーテルにて肺動脈弁弁口部を拡大。
拡大後は流速が3m/sec以下まで落ち、圧較差では150mmHg程度の減圧に成功いたしました。
先日、来院がありましたが、術後の経過は良好で、今のところ再狭窄の所見はありません。様子も以前よりも増して活発になったとのこと。引き続き良い生活を送ってもらえたら嬉しいです。
僧帽弁閉鎖不全の症例に対して開心術を行い別掲生術を施した症例
いつもご訪問ありがとうございます。さて、先週の話になりますが、3月10日に当院にて開心術を行いました。今回の症例は、当院にて以前から内科治療にて僧帽弁逸脱による僧帽弁閉鎖不全症の治療を受けていただいていた症例でした。しかしながら、数ヶ月前より心拡大が進行し、内科管理でのコントロールが厳しくなってきたため飼い主様に開心による僧帽弁形成術を提案したところ、手術を希望されましたので行いました。やはり、物理的な弁の異常は内科治療では限界があります。
術前の心エコー検査:僧帽弁からの逆流所見
手術は下記のような設備を使い、行ってきます。
心臓の外科手術は外科手術においてもトップクラスに難易度が高い手術になります。最近ではそういった手術でも9割以上の症例が術後の合併症なく退院出来ています。今回、動物心臓血管ケアチーム(JACCT)のご協力をいただき、無事手術を終え、本日、元気に飼い主様の元へワンちゃんをお返しすることが出来ました。今後は、定期的に当院でこのような手術を行っていく予定です。
来月も1例の開心術の予定が決定しております。この症例と同じく僧帽弁閉鎖不全症で内科管理が厳しくなってきている症例です。
自分が獣医師として仕事が出来る間に、当院であとどれくらいの心疾患症例の子に対して開心術を施しお役に立てるかは分からないですが、一つ一つの症例に対して全力で頑張ってきたいと思っています。
術後の心エコー検査:逆流がほぼ消失
