院長ブログ/ BLOG
原因不明の肺高血圧症として当院に紹介来院。
2ヶ月齢の子犬の紹介来院がありました。
前医の先生が曰く、有心負荷所見があり肺高血圧症を疑うが、何故このような状態になっているのかがわからないとのこと。早速、当院で検査を行わせてもらいました。
エコー検査を行うと心室中隔の扁平化が起こっており、右心室に圧負荷があることが疑え、肺動脈の狭窄などもないことから、肺高血圧症が疑われました。
(RV:右心室 IVS:心室中隔 LV:左心室)
(RV:右心室 RA:右心房)
右心房に逆流する血液の流速から収縮期の肺動脈の血圧が分かるのですが、おおよそ110mmHg位あります(正常は20mmHg程度)。この症例の血圧は収縮期が80mmHgでしたので、完全に右心室と左心室の血圧が逆転しています。
(MPA:主肺動脈 DA:動脈管 AO:大動脈)
若齢の場合でこのような肺高血圧症に至る場合、短絡疾患(心室中隔欠損、心房中隔欠損、動脈管開存症など)は常に念頭に置いて検査が必要ですが、今回のように肺高血圧症が酷いと短絡の血流が見えにくい場合もあります。この症例は主肺動脈から大動脈にかけて血液の短絡を疑う所見が得られました。
(RV:右心室 RA:右心房 LV:左心室 LA:左心房))
造影超音波検査にて心室中隔の欠損は無かったです。造影剤は静脈から入れていきます。
(AO:大動脈)
静脈からの造影剤(細かいバブル)を入れると、腹部の大動脈で造影剤の陽性所見が得られました。通常の個体では静脈から入れた造影剤(細かいバブル)は肺で吸収されるためにこのような所見は得られません。
今回の症例はアイゼンメンジャー化した動脈管開存症が一番に考えられる病態です。かなり若齢での発症なので、生まれつきの肺の病気の可能性を一番に疑いますが、今回認められた動脈管開存の影響も考えられます。この状態では動脈管を閉鎖させる手術は適応外となります。
動脈管開存症をはじめとする短絡性疾患は肺高血圧症に移行する前の手術が必要です。
パズル。。。
メガネを掛けたまま寝ていたらワンちゃんにメガネをいたずらされ、レンズの破片を合わせると足りないので食べてしまったのかも?
という主訴で来院のあった患者様。
下記がいたずらされたメガネ。ピンクの丸の部分が無くなった部分のレンズです。
エコー検査でみてみると、胃内に人工物を疑わせるようなラインの異物を疑う所見がありました。
早速、内視鏡にて胃内を確認。すると、やはりありました。
しかも、ご丁寧に噛み砕かれていて複数個あります。。。(;´Д`)
内視鏡のポートより把持鉗子を挿入して異物を除去しながら、メガネのレンズのパズルをしていきました。無事パズル完成!!めでたしめでたし!!
皆さん、誤食には注意しましょうね。
頻尿
おしっこに何度も行くという主訴で来院のあったワンちゃん。
エコー検査にて膀胱炎と大量の膀胱結石が見つかりました。
【音響陰影が強く出ている部分が結石を疑う所見です。】
レントゲン検査にてもはっきりと写っています。
手術で実際にとれた結石
こんなのが膀胱内にあると痛いですよね。結構、トゲトゲしてますしね。。。
この結石は検査センターにて今後の治療や予防の為に分析を行います。
今回の病気のサインは【頻尿】でした。
もし、飼われているワンちゃんのおしっこの回数が異常に増えているようでしたら注意が必要かもしれません。
短頭種気道症候群という病気
いつもご訪問有難うございます。
今日は【短頭種気道症候群】という病気について書きます。
短頭種気道症候群というのはブルドックやパグ、フレンチブルドックなど鼻が短い犬種は生まれつき外鼻孔の狭窄、喉頭の異常、気道の異常を持っている事で症状を起こします。
この状況が長く続くと気管などの変形や心疾患に繋がるリスクが有ります。
さて、今回当院で避妊手術を受けていただいたワンちゃん。同時に外鼻孔の形成術と軟口蓋の切除を受けていただきました。
上記の矢印の部分が外鼻孔ですが内側に入り込んでおり狭窄していました。
そこで下記のように形成し、また、軟口蓋の下垂もひどかったのでそちらも手術にて切除いたしました。
ガーガー言っていた呼吸が術後は言わなくなり、あきらかに呼吸が楽そうになっていました。
矢印が術後拡張した外鼻孔です。
術後はICUにて管理いたしました。
本日退院し、飼い主さんもガーガー言わなくなったことに驚いていました。
短頭種気道症候群。。。若うちに手術で対応することが望ましいです。
心筋症猫の去勢手術
下の写真は去勢手術を先週無事終えたエキゾチックショートヘアの【うに】ちゃんです。
去勢手術の傷口のチェックに来院していただきました。
実は【うに】ちゃん、過去にも一度去勢手術を受ける予定でいましたが、術前検査にて【心筋症】が判明し、当時は手術を見送ることとしました。
それから1年。。。
飼い主さんがおっしゃるには昨年の春や秋に結構ソワソワして落ち着きがないことがしばしばあったとのこと。これからまた春を迎えると落ち着きがなくなるのでは???という心配と特に交配などをする目的もないのに【性】に縛られることによるストレスが心配とのことでしたので、去勢手術を行うこととなりました。
幸い、この子の場合は【心筋症】による重度のうっ血などの症状はなかったので(先日、心筋症の定期検診をした結果)、麻酔薬の選定から術後管理までをしっかり行うことにより無事に去勢手術を行えました。
しっかり、状況を把握して手術を行うことが大切です。
避妊手術や去勢手術は全身麻酔を行います。患者サイドの【安全】を一番に配慮するのが獣医療でも必要なことです。
また、避妊手術や去勢手術はそれを行ってその後の生活をより良くする手術です。一か八かでやる手術ではありません。
今回の症例は最初の去勢手術時に検査を行わなかったらどうなっていたのかと考えるとゾッとします。術前検査は重要です!!
※記事や写真の掲載に関しては飼い主様の許可を得ております。
紹介症例
昨日は近所の先生よりご紹介いただいた心疾患の症例の検査を行わせていただきました。
紹介元の病院で心雑音と心臓エコー検査で異常血流が認められたため当院に紹介があった症例です。
当院では治療方針を決定する精密検査が目的のため来院でした。
診断は【閉塞性肥大型心筋症】
所見として特徴的な心筋の肥厚と僧帽弁の収縮期前方運動【SAM】が認められ、SAMの影響にて【僧帽弁逆流】と【流出路狭窄】が起こっていました。
心電図では上室性頻拍が認められ、高血圧所見も認められました。
治療は上記の事柄を配慮し行うこととしました。
猫の心筋症の予後因子に左心房の拡張があります。
今回の症例では左心房の顕著な拡張は認められませんでしたが、やはり、飼い主さんは先々のことを不安に思われていました。
まだ3歳にもなっていない猫ちゃん。人間の年齢に例えれば20代中頃でしょうか?
少しでも飼い主さんと長く一緒に入れるように、また、日常生活で苦しむことのないように維持できてくれればと思います。
僧帽弁の収縮期前方運動【SAM】
左心房の顕著な拡張は認めない。
拡張期の心筋壁の肥大所見
左室流出路の動的狭窄所見
僧帽弁逆流所見
※掲載に関して飼い主様の同意を得ております。