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動脈管開存症(PDA:Patent Ductus Arteriosus)

胎生期(母親のお腹の中にいる時)に胎子が正常に発育・成長するために成体には存在しない循環路があります。それは臍動脈および臍静脈からなる胎盤循環、静脈管、卵円孔ならびに動脈管であります。出生を境にこれらの循環は存在意義を失うため閉鎖・退行します。
今回の症例は出生しても動脈管が閉鎖せず動脈管開存症(PDA:Patent Ductus Arteriosus)と診断した症例です。放置するといずれ心不全に至り死亡します。ですので早期の外科手術による動脈管の閉鎖が必要になります。 
このPDAの検査所見で特徴的なのが収縮期、拡張期共にみとめられる連続性の異常血流です。
超音波検査での診断が有効でした。


外科手術①
開胸したところです。AO:大動脈が確認できます。
*印のところが動脈管です。これを通り大動脈と肺動脈の血液の交流がありました。本来であれば出生後はこの血管は閉じてなくてはいけません。


外科手術②
動脈管に糸をかけたところです。動脈管に糸をかける操作がこの手術のキモになります。


外科手術後は連続性の雑音も聴取されなくなりました。今のところ経過も良好です。
最後に
この拡大鏡が凄い役立ちました!!↓


消化管閉塞

いつもご訪問ありがとうございます。
随分とブログを放置してました・・・スイマセン・・・
さて、9月より当院は6年目を迎える事となりました。
開業して5年・・・あっという間でした。(笑)
毎日を必死におくっていると時間が経つのは早いですね?
さて、6年目を迎えるにあたり、病院の設備を増やしました!!
今回、導入したのはコレ↓
TOSHIBA Aplio 300

そうです。超音波装置を一新しました。
以前の超音波装置と比べると吐き出す画質はまるで別物です。
つい先日、この超音波が役立つ時が来ました!!
慢性の嘔吐、体重減少を主訴に来院された症例ですが、この超音波装置のおかげで診断が非常にスピーディでした。日々の技術の進歩というのはすごいですね?


会陰ヘルニア

食欲廃絶、嘔吐を主訴に来院されたワンちゃん。
会陰部(肛門の周囲)にヘルニアを起こしており、膀胱が腹腔内から反転し脱出しておりました・・・
排尿困難になっており、腎不全に至っていました。
すぐさま尿道カテーテルを設置し、入院での治療を開始。
翌日には腎不全も緩和したため、ヘルニアの手術を行いました。
実はこの会陰部のヘルニアは高齢の未去勢♂の罹患率が高い病気です。男性ホルモンの影響で肛門周囲の筋肉(尾骨筋、肛門挙筋など)が退縮してしまい、そこに隙間ができヘルニアになってしまうという病気・・・若いうちに去勢手術を行えばこの病気の発症リスクはかなり激減します。
ヘルニアを起こして去勢手術だけを行っても筋肉の退縮は戻りませんのでヘルニアは治りません・・・
また筋肉の退縮から起こるヘルニアなので手術を行っても再発するリスクのある獣医師泣かせの病気でもあります。
今回の症例は筋肉の退縮が重度に起こっておりヘルニア孔を閉じるために中々苦労しました。筋肉だけの縫合では不十分なため、総鞘膜という睾丸を包んでいる膜を利用し整復しました。無事整復できほっと一息です!!


発毛してきました〜〜〜!!

当院に1ヶ月前より皮膚疾患で通っていただいている症例です。
主訴は『薄皮が剥ける感じで脱毛していく。痒みはあまり目立たなく、皮膚が黒くなってきている。』でした。真菌、パターン性脱毛、ホルモン疾患などを考え経過中に様々検査をさせていただき治療を施すと1ヶ月で見違えるくらい発毛してきました。。。良かった!!飼い主様も大喜びでした!!
<画像をクリックすると大きくなります>


胃内異物

当院でホテルで預かっていたワンちゃん。
預かり時に飼い主様より『最近便が柔らかい』との話。ひどくなるなら診療させていただくことをご了承していただきお預かりいたしました。
その後飼い主さんとお別れをした後すぐに大量の嘔吐・・・
その後軟便の排泄・・・
胃腸炎の治療を施したのですが翌日になっても嘔吐がひどく、至急飼い主様に連絡をとり、検査をさせていただくと・・・




ん???何やら赤くマルで囲んだ部位がおかしい・・・

超音波で確認すると


ちょうど胃の幽門部に超音波の異常所見が!!!!

飼い主様と連絡を取り、説明すると2ヶ月前にアイスクリームの棒を食べていたとのこと。2ヶ月前のことでその後特に様子も変わりなかったので気にしてなかったとのことでした。

確認のためいつもお世話になっているO先生の病院で内視鏡・・・
o先生から『先生、あったよ!!』って連絡を受け、送られてきた画像がコチラ↓


本当にとれてよかったです。O先生曰く、かなり胃粘膜も炎症があったとのこと。異物恐ろしいですね?異物が原因で命を落としているワンちゃん、猫ちゃんは多いです!!時間が経って症状を示す場合もあります。注意しましょうね?


事故の症例

重機による事故のため来院。
各種検査にて膀胱破裂、腹腔内出血、右側寛骨臼骨折が判明。
緊急オペを施し、膀胱の再建と腹腔内出血の止血処置を施しました。
↓↓↓(血のダメな方はクリックしないでください。)

後腹膜腔の右腎後方からの出血でした。
術後3日で食事も少しとれるようになったので今度は右側寛骨臼の整復・・・
↓↓↓



骨折端を合わせるのに苦労いたしましたが、なんとか整復できました。

今回、この器具たちが大活躍してくれました。
↓↓↓<外科用ドリル>


↓↓↓<電気メス バイポーラ>


本日で受傷後1週間経ちます。やれることはすべてやりました。おかげで食欲も安定してきました。このまま無事退院できることを切に願います。


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