院長ブログ/ BLOG
排便障害
2年間の排便障害に苦しんでいた症例の来院。
原因は会陰ヘルニアによるものでした。
会陰ヘルニアとは、中高齢の未去勢♂に発生し、腹腔内臓器(膀胱や前立腺など)や直腸拡張による排便障害を起こす疾患です。
直腸内にかなりの宿便があり、炎症もひどく起こしていました。
また、術前検査では心臓の弁膜症(三尖弁逆流)も発見。
高齢で基礎疾患(三尖弁逆流)などがありましたが、このヘルニアがあるとQOLを著しく悪化させるため、飼い主様の同意のもと手術を行いました。
画像↓(お食事中の方はクリックしないでください。)
ヘルニア部位が大きかったのでインプラントが必要かと思いましたが、インプラントを入れず無事整復できました。自分的にはあまりインプラントは入れたくないので良かったです。無事排便障害が治まってくれればと思っています。
胆嚢粘液嚢腫
いつもご訪問ありがとうございます。
今回は症例報告をさせていただきます。
つい先日、食欲不振、発熱、嘔吐を主訴として来院されたワンちゃん。
血液検査で黄疸とCRP(急性炎症の指標)、肝酵素の数値が著しく上昇していました。
検査を進めて行くと、腹部エコー検査にて胆嚢がまるで『キウイフルーツを真っ二つに切った断面』に似た胆嚢粘液嚢腫に特有な所見が得られました。入院をしていただき、経過をみていたのですが、黄疸と炎症反応の数値が悪化の一途をたどったため、飼い主様に同意をしていただき開腹いたしました。
写真をクリックすると大きくなります。
(血がダメな方はクリックしないでください。)
胆嚢が粘液貯留でパンパンになっていたため、肝臓から剥離して切除。総胆管の開通を確認し、腹膜炎も起こっていたため腹腔内を洗浄、閉腹いたしました。
術後2日目になりますが、食欲も少し出てきており、顔つきも随分と楽になってきているようです。まだまだ油断は出来ませんが無事にお家に帰れる様になってもらいたいです。
吐き気と食欲不振
この写真は吐き気と食欲不振で来院のあった症例の内視鏡検査の写真です。
この症例は他の病院2件くらいにも診てもらったそうですが原因が分からないと言われて当院に来院がありました。
当院でも検査をしたのですが炎症反応の数値(CRP)の上昇、胃と十二指腸の運動の低下以外は著変を認めませんでした。飼い主さんには開腹検査も覚悟してもらい、まず内視鏡検査を久留米市のI動物病院のO先生のご協力のもと行わさせていただいた症例です。
胃の出口(幽門といいます)が真っ赤に腫れ上がってました。
生検検査を行い、結果はリンパ球とプラズマ細胞による炎症とのこと。
こういった炎症は自己免疫に関連して起こるものが多いですね。
この症例は今現在、食事の変更と内服にて治療を行っています。治療を開始してから吐き気も無く食欲も出てきました。先日、来院があったのですが、食事を食べ過ぎて困るというくらいになっているそうです。
当初、暗かった飼い主さんの顔も笑顔が垣間見えこちらとしてもうれしい限りです。獣医師をやってて良かったと思える瞬間ですね?
猫の子宮水腫
いつもご訪問ありがとうございます。
11月なのに今年は暖かい日が続いていましたが、やっと最近少し冬らしさを感じてくるようになってきました。体調管理には気を配らなければなりませんね?
さて、先日から食欲不振で猫ちゃんの来院がありました。
当初、飼い主さんは舌をペロペロ出して、口の中がおかしいのかな?とおっしゃられていたのですが、腹部の張りが気になったため検査を行うと・・・子宮が水腫を起こしていました。
通常猫の正常な子宮は人間の小指より細いくらいなのですが、とても太くなっており、お腹の中の大半を占拠しているような状況でした。このような状態ではご飯も食べれませんよね?
連れてこられた時にはお腹の毛が擦れたような感じになっていたので、飼い主さんに聞いたところお腹を最近よく気にして舐めていたとのこと。お腹に違和感があったのでしょう。摘出した組織の病理検査結果は、子宮水腫。卵巣の嚢胞も起こしており卵巣の機能異常に関連がありそうとのこと。
こういった子宮のトラブルは高齢の♀の動物に多発する傾向があります。しかも卵巣の機能異常が関連しているケースが多いように感じます。
今回、この症例は手術した後、食欲も出てき始め経過は良好です。
子宮の病気は放置しておくと命に関わるものもあります。注意が必要です。
本日抜糸いたしました。
耳血腫にてオペをした症例の抜糸を行いました。
今日は診察もあまりなく、時間もあったので経過の写真をPhotoshopで編集してみると・・・
随分、綺麗になりました。よかった〜!!
今、この症例はホテルでお預かり中です。
お迎え時に飼い主さん喜んでくれるといいな〜!!
耳血腫という病気は様々な原因から起こることがありますが、一番の原因は耳道炎から起こる2次性のものです。耳道炎には注意ですね?
耳血腫は放置しておくと耳の変形を伴います。
耳を気にしているなどの症状がある場合には速やかに受診されることをお勧めいたします。
またもや副腎疾患?
いつも、ご訪問いただきありがとうございます。
今回、また別の症例で副腎疾患を疑う症例が来院されました。
この症例は当初、外耳炎を主訴に来院されたのですが、その経過中に飼い主様から飲水量が多いことと今までお家の中で排尿をしなかったのが最近するようになったとの相談を受けました。
外耳炎の治療によっては飲水量が増えるお薬も使うことがありますが、今回この症例にはそのお薬は使用していないため、検査をさせていただくと、腹部の超音波で下記のような異常が検出されました。
右腎臓の内側で後大静脈に隣接していることや腹部のX-rayにて同位置に石灰化所見があること。又、血液・血液生化学検査にても副腎疾患を疑わす所見が出ていることから副腎腫瘍による副腎皮質機能亢進症を疑います。今現在、副腎から分泌されているホルモンの検査の結果を待っている状況です。
犬の副腎皮質機能亢進症の原因の中には大体2割から3割程度副腎の腫瘍が原因していることがあります。今回のケースは飼い主さんの何気ない疑問から始まりました。いつもと違った行為などは病気のサインとなっているケースが多いように思えます。